木材の色の表し方

−CIELABからMUNSELL表色系への簡易変換方法について−

基太村洋子

   要旨

 木材の色を表示する主な方法には,1. L*a*b*表色系(略 CIELAB)による 表示,2. マンセル表色系による表示,3. 色名による表示がある。CIELABによる表示の値は,スペクトルによる三刺激値XYZから導かれる値で, 光電色彩計または分光光度計で測定する。従って,この値には客観性がある。しかし,測色値が数字で表されるために,色としての判断ができにくい。それ に対し,色知覚で分類されたマンセル表色系の値は,分類がCIELABよりもあらく,識別時に個人差の現れる欠点はあるが,分かりやすい。そのために,本研 究ではCIELABの値をマンセル表色系の値に簡易に変換する方法を作成した。変換方法は今までにも研究されてきていた。しかし,それらの方法では,数多く の値の変換が簡単にできない。今回,1枚の図を用いて,即座にほぼ正確に木材の色のL*a*b*値をH,V,C 値に変換できる方法を見い出したので報告する。これは,同一線上に記したL*とVとの換算図と,CIELABのa*b* 色度図上に,色相H,クロマCの線を描いた図とからなっている。この図を判定用チャートとした(実用新案,昭61.47379(1986))。こ のチャートは,世界の有用木材の測色値を基盤にして作成した。そしてこれは,全材色の明度の範囲を四つに分けて作った4枚のチャートで構成されている。 チャートIL*が84.99〜75.00辺材と淡色材用),同Uは74.99〜55.00(国産材他普通色用),同Vは54.99〜35.00(南洋材等濃 色用),同Wは34.99〜25.00(特に濃色な特殊用)の色の場合に用いる。このチャートは材色以外でも利用可能である。

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−森林総合研究所研究報告−
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