ブルネイにおける択伐後放置されたフタバガキ科二次林の構造(英文)

田内裕之,MOHAMMAD Alimanar bin, ABDULLAH MD Faizul bin, JILLI Rosli bin O.K., 小林繁男

   摘要

 低地混交フタバガキ林で択伐後約25年放置した 二次林に3か所の調査地を設定し,林分構造,生産構造及び現存量の解析を行い,そ の特質を明らかにした。また比較のため,5年生のアカシアマンギウム人工林の現存 量測定も行った。
 二次林の立木密度は高く,9 000〜15 700本/haであった。胸高断面積は24.5〜33. 5m2/haで,樹高は24〜32mに達し,林冠は良く うっ閉していた。林分構造(樹高や直径分布)は点在する残存高木によって特徴づけ られた。生産構造では,幹と葉の垂直分布型が成熟した常緑広葉林のそれとは異なっ ていた。樹型を葉群の垂直頻度分布で評価すると,多くの木は葉群のモードが樹高の 2/3以上の高さに位置し,その分布幅は小さかった。現存量は,直接測定では141t/ha あり,相対成長式による推定法も精度が高かった。一方,5年生のアカシアマンギウ ム林の現存量は147t/haに達し,初期成長は著しく速かった。
 高木性フタバガキ科木本の本数密度割合は1.8%と低く,林冠木を形成している個 体はなかった。このことより,各種の才島乱が新たに生じていない現体制のままでは, 再びフタバガキ林へと移行することは困難であると考えられた。

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−森林総合研究所研究報告−
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