民有林の地域森林計画における収穫予測に関する研究(第1報)
                   −減反率法による収穫予測上の問題点と改善策−

                             野 田  巌
                             
 
要旨:わが国の豊かな森林を持続的に維持・造成するために不可欠な森林計画立案の際の最重要項目として収穫予測が挙げられる。しかし,これまで民有林の地域森林計画において収穫予測のために使用されてきた減反率法は,予測値が現実値と大きく異なるという欠点があり,そのためより精度の高い新たな収穫予測法の確立が急務となっている。本研究は,減反率法の問題点を論議し新たな収穫予測法を開発するとともに,その成果を全国森林計画に導入することを目的に実施されたものである。
 本報告では,予測値と現実値が乖離する原因を減反率理論の特性分析と岐阜県民有林を例にした諸要因の現状分析をもとに考察したところ,減反率法に「伐り控え」「伐期の延長」等,経済的条件の変化に対応できる仕組みがないことを明らかにした。一方,その他様々な収穫予測法と比較検討したところ,前記の欠点はあるが,数多くの森林所有者から構成される民有林の収穫予測法としては,現在のところ減反率法が最も優れているようであった。そこで,減反率法の改善策を検討したところ,「経済的条件の変化に応じた減反率パラメータ決定」「減反率算出方法改良」「最高齢級の取り扱い」等の改善策を取り入れることが必要であると認められた。

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−森林総合研究所研究報告−
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