森林生物 サクラ類てんぐ巣病


和名:サクラ類てんぐ巣病
学名:(病原菌)Taphrina wiesneri (RATHAY) MIX
    
分布:世界的に分布
 
写真(上):てんぐ巣病徴を示す枝
写真(下):サクラ類てんぐ巣病罹病木
てんぐ巣病徴を示す枝
説明
枝の一部から箒状の異常な枝を生ずる(写真)。てんぐ巣病枝は極めて希にしか花を付けず,健全枝より春早く開葉する。葉は健全枝のものより小型。黒く萎れて葉裏に白い粉状の子実層を付け子のう胞子を産生した葉は,秋を待たずに乾燥し落ちる。子のう胞子は子のう内で出芽し,寒天培地上では酵母状の成長を示す。感染経路などの詳細は未解明。てんぐ巣病枝は花が付かず数年で枯死するため,著しく美観を損ねる。対処法は健全枝を含む部分ごと病枝を切除すること。本菌は植物ホルモンであるインドール酢酸を合成するが,それがてんぐ巣病枝の形態に関係があると考えられている。Taphrina属菌は極めて原始的な子のう菌とされ,菌類の分化の解明の鍵として分類学上の注目を集めている。
サクラ類てんぐ巣病罹病木

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