森林生物 ヘリグロテントウノミハムシ


和名:ヘリグロテントウノミハムシ
学名:Argopistes coccinelliformis
    コウチュウ目,ハムシ科
分布:国内では本州〜南西諸島に分布。
 
写真(上):ヘリグロテントウノミハムシ成虫
写真(下):ヘリグロテントウノミハムシ幼虫
ヘリグロテントウノミハムシ成虫
説明
モクセイ科を寄主とし,1980年代初めごろから,関東地方を中心として,公園・庭園・街路などで大発生を続けている。とくにヒイラギモクセイ,ヒイラギ,ネズミモチに被害が多い。成虫はテントウムシ類に似ているが,刺激を与えると跳躍して逃げる。色彩は変化に富む。幼虫の体色は黄色で,頭部は黒色。関東や四国では通常年1回発生。関東南部では,落葉下などで越冬した成虫が,3〜4月に樹上に出現する。成虫は,交尾後新芽・新葉に産卵し,卵は10日前後で孵化する。幼虫は潜葉性で,3齢を経過して1か月前後で寄生木を離れる。幼虫は頻繁に孔道を変えるために,葉の表面に出ている場合も多い。とくに終齢幼虫では,頭部だけを葉肉内に潜らせて摂食している個体が多い。老熟幼虫は,樹から直接落下する場合もあるが,大多数は樹幹を這い降りて地面にいたり土中に潜る。土中で過ごす期間は約1か月で,6月中〜下旬に羽化して地上に出現する。羽化直後の成虫は活発に葉を摂食するが,摂食量は真夏には低下し,それ以降は低いまま保たれる。成虫の寿命は長く,越冬後成虫の中には秋まで生き残るものがある。テントウノミハムシの産卵は春にだけ行われるが,本種では夏〜秋にかけても土用芽に産卵が見られる。
ヘリグロテントウノミハムシ幼虫

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