森林生物 クリタマバチ


和名:クリタマバチ
学名:Dryocosmus kuriphilus Yasumatsu
    ハチ目,タマバチ科
分布:北海道,本州,四国,九州;朝鮮半島,中国,北アメリカ,イタリア
 
写真(上):クリに形成されたクリタマバチの虫こぶ(クリメコブズイフシ)
写真(下):虫こぶ内部のクリタマバチ幼虫
クリに形成されたクリタマバチの虫こぶ(クリメコブズイフシ)
説明
虫こぶ(クリメコブズイフシ)の大きさは 15 mm 内外であるが,複数個の虫こぶが癒着し,さらに大きな外見を呈する場合もある。クリの新芽全体が虫こぶ化する場合と,葉の主脈や葉柄に虫こぶが形成される場合がある。虫こぶ内部には複数の幼虫室があり,それぞれの幼虫室内部には 1 幼虫が成育する。年 1 世代で,産雌単為生殖を行う。虫こぶは冬芽の展開と同時に成長を開始,成虫は初夏に虫こぶから脱出する。クリの重要害虫であり,虫こぶの形成は果実生産量の低下,ときにはクリの枯死を引き起こす。本種は中国から日本に侵入したと考えられており,1940年代から日本各地に分布を拡大した。薬剤散布やクリの抵抗性品種による防除のほか,日本産の寄生蜂や,輸入天敵であるチュウゴクオナガコバチ(Torymus sinensis Kamijo)を利用した生物的防除が行われている。
虫こぶ内部のクリタマバチ幼虫

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