装置の設定 - 複数枚連続撮影や動画にしないこと
デジタル撮影装置では、検知1回につき複数枚撮影できるものがありますが、この設定は避けてください。1枚目で撮影できなかった動物を2枚目以降で捉えることは期待できず、1枚目で撮影した動物を2枚目以降で再度捉えてもデータとしては意味がありません。無用撮影が増えるだけです。 データを量的に扱う上で、2枚目以降の撮影をどうするかは厄介な問題です。基本的にはなかったものとして除去するしかないと思います。結局、複数枚の撮影は、写真ファイル数を無用に増大させ、処理の時間や手間、記録媒体の使用量を増やすことになります。 デジタル撮影の装置は撮影枚数の制約が実質的にないので、撮れるだけの写真をとっておきたいという誘惑に駆られがちです。しかし、処理の手間を考えると、最初の段階で余分な撮影はできるだけしないことが重要です。 同じ理由から動画の設定も避けてください。動画は楽しいものですが、観測データとしてみる限り静止画以上の意味はありません。さらに、撮影内容の確認に時間・手間を取られ、画像データの保存にも大きな容量が必要です。(さらに、データ処理システムPhotoSurvey.xlsにおけるマクロInputHelperやCheckHelperが使えません。撮影データの入力やチェックの作業効率が大幅に落ちることになります。) 撮影終了後、次の撮影をしばらく抑制する時間の設定も同様に重要です。観測の標準機となるYoyShotでは2分の撮影抑制時間を設けています。デジタル機器使用の場合も、可能ならこれに合わせていただくと、結果の比較がやりやすくなります。 観測では、撮影頻度を動物の生息状況の指標として用います。観測の目的は、写真を得ることそのものではなく、撮影頻度という量的なデータを得ることです。そのため装置の設定はとても重要です。
データ処理 - 撮影日時の入力方法
デジタル撮影装置の場合、マクロInputHelperを利用すれば、写真ファイルの日時情報が撮影日時として自動的に入力されます。ただし、写真ファイルをコピーしたり、編集したりすると元の日時情報が失われることがありますので、注意してください。 デジタル撮影装置では無効撮影が多数出ることがありますが、無効撮影のデータも必ず入力してください。無効撮影の出現状況の把握は、観測装置の特性や観測を取り巻く状況を知り、データを正しく解釈する上でとても重要です。時には、データ整理後、動物の見落としを発見したり、無効撮影に占める誤作動と通過後撮影の割合を推測することにもつながります。 無効撮影については撮影内容の入力が不要です。撮影日時の入力にかかる手間は上記の方法で軽減されるため、どれだけ多数の無効撮影が出ても、データ入力の負担は(写真判定の負担を除けば)それほど増加しません。
撮影画角に注意
現在入手可能なデジタル撮影装置には様々な問題があります。反応が遅く、検知した動物の姿が写真に残らない問題、無効撮影が多数生じる問題、設置後、稼働状況が確認できない問題、などです。他にも、撮影画角の大きさが示されず、撮影画角に対してどこを検知しているかも不明という問題があります。 調べてみると、デジタル撮影装置の多くは撮影画角が狭い(すべて35mmレンズ相当より以下)ことがわかりました。右図で、最大の青枠がフィルムカメラ式YoyShotの撮影画角(28mmレンズ)、次の青枠が35mmレンズ相当、最小の青枠が50mmレンズ相当です。その他が調べた市販5機種の画角です。設置の際は撮影画角にも十分な注意が必要です。 検知エリアについては、センサー用のレンズを見れば、1点検知か、多点検知かはわかります。しかし、具体的な検知エリアの大きさや分布については、ほとんど情報が提供されておらず、また推測も困難です。検知エリアが撮影画角より広いものも一部あるようです。 図:装置を高さ150cm俯角37度で設置した場合に、地面上1m先、2m先、3m先、4m先、5m先、10m先のキツネと撮影画角の関係を示す図。地面上のグリッド幅は1m。 |
![]() |