サルの被害を“追い上げ”で防ぐ
サルによる被害の程度が進んでくると、個々の家々や農地で対策を進めるのでは効果が薄くなり、地域を対象とした抜本的な猿害防止策が必要になります。このような防止策の一つとして、農地・集落に近づいてきたサルの群を、銃器等を使いながら山に追い返す方法、いわゆる“追い上げ”があります。サルの追い上げがどのようなときに効果があるかを調べました。
1. 追い上げによるサル目撃と被害の推移
1) 集中的な追い上げ(矢印期間)の結果、サルの目撃や被害報告が少なくなった。 2) しかし、周辺地域への被害拡大や慢性的な被害を引き起こしている。 3) 限られた地域だけの追い上げは、根本的な問題解決にはならない。
2. 追い上げの効果を上げるための条件
1)サルが利用できる追い上げ場所の確保 2)集落間の連絡網や協力体制の整備と近隣住民の理解 3)サルが好む作物から自然の食物への転換が容易(自然の食物の確保) 4)移動ルート、泊まり場、採食場所、耕作地の侵入・滞在のパターンなどサルの行動に関する情報の十分な蓄積 5)地域周辺の休耕地やゴミ捨て場などの環境整備