研究紹介 > トピックス > ニュース > ニュース 2024年 > 「フィールドガイド 樹木のマイクロハビタット」の日本語版を公開しました。
更新日:2024年9月19日
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様々な生き物の生息環境となる樹木の特徴を樹木のマイクロハビタット(a tree-related microhabitat)と呼びます。マイクロハビタットには様々な種類があり、樹洞(じゅどう)や枯れた枝、幹についたキノコやつる植物などが含まれます。マイクロハビタットは数千もの生き物に隠れ家や繁殖場所、冬眠場所、餌場を提供しており、一つ以上のマイクロハビタットを持つ木はハビタットツリーと呼ばれます。このマイクロハビタットの分類や説明、野外で調査するための基準が整理されたガイドブックが、スイス連邦森林・雪氷・景観研究所(WSL)注1から発行されています(原題:Field guide to tree-related microhabitats)。今回、森林総合研究所ではこのガイドブックの日本語訳を行いました。
このガイドブックにはマイクロハビタットの種類やその環境を利用する生き物などがまとめられており、身の回りの木や森にどのような生き物の生息環境があるのかを調べることができます。また森林管理においては、それぞれの木の生物多様性保全上の機能を評価して大きな価値を持っている木を特定できます。このため、森林を伐採する際に一部の木を残す保持林業などで保持木選定の基準の一つとして利用できるでしょう。このガイドブックが生物多様性の保全に配慮した森林管理を考えるきっかけの一つになれば幸いです。
日本語版のフィールドガイドは以下のサイトで無料公開されており、PDFをダウンロードできます。
(スイス連邦森林・雪氷・景観研究所(WSL)のレポジトリサイトに移動します)
https://www.dora.lib4ri.ch/wsl/islandora/object/wsl%3A37713(外部サイトへリンク)
英語版や他言語の翻訳版はこちらからダウンロードできます(日本語版もこちらに追加される予定です)。
http://www.wsl.ch/fg-trems(外部サイトへリンク)
注1 スイス連邦森林・雪氷・景観研究所(WSL)とは、森林、景観、生物多様性、自然災害、雪氷に関するモニタリングと研究を行うスイス連邦の研究センターであり、スイス連邦工科大学(ETH)ドメイン(教育・研究機関の連合体)の一部です。
日本で見られる樹木のマイクロハビタットの例(左上:枯死した頂上部、中央上:樹皮の消失、右上:ヤドリギ、左下:幹腐朽樹洞、中央下:こぶ、右下:大量の樹脂)
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