研究紹介 > トピックス > プレスリリース > プレスリリース 2010年 > 森林の生物多様性がソバの実りを豊かにする -花粉を媒介する昆虫の多様性が結実率を高める-
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平成22年11月16日
独立行政法人森林総合研究所
ポイント
森林は豊かな生物多様性をささえています。しかし、それが人間の生活にも貢献していること(生態系サービス)はあまり知られていません。そこで、中山間地で栽培されているソバの実のつき具合(結実率)と生物多様性との関係を調べました。ソバの花粉の媒介はハチ、アリ、ハエ、ハナアブ、ハナムグリなどの昆虫が行うので、その結実率は花粉媒介がうまくいくかどうかにかかっています。調査の結果、森林や草地など昆虫の多い植生が周りに豊富なソバ畑では、花粉を媒介する昆虫の数が多く、結実率も良くなることが明らかになりました。今回の研究は、森林など生物多様性の高い植生の存在が、農作物の生産にも貢献した事例です。森林を守ることは、生物多様性の保全を通じて、その生態系サービスを維持する意味があります。
本成果の掲載論文
タイトル:Effects of landscape metrics on Apis and non-Apis pollinators and seed set in common buckwheat(ソバにおけるミツバチとそれ以外の送粉者ならびに結実に影響する景観要素)
著者:滝 久智(森林昆虫研究領域)、岡部 貴美子(森林昆虫研究領域)、山浦 悠一(北海道大学)、松浦 俊也(森林管理研究領域)、末吉 昌宏(九州支所)、牧野 俊一(森林昆虫研究領域)、前藤 薫(神戸大学)
掲載誌:Basic and Applied Ecology(基礎と応用生態学、ドイツ・オーストリア・スイス)、発行号:未定(Online は公表済み)
doi:10.1016/j.baae.2010.08.004(外部サイトへリンク)
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独立行政法人 森林総合研究所 理事長 鈴木 和夫 |
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