研究紹介 > トピックス > プレスリリース > プレスリリース 2011年 > ナラ枯れは「地元」のカシノナガキクイムシが起こしている -遺伝子解析が示すナラ枯れ被害拡大の要因-
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平成23年1月31日
独立行政法人森林総合研究所
ポイント
最近、ミズナラなどが集団で枯れる被害が顕著になっています。その原因は病原菌で、「カシノナガキクイムシ」という昆虫に運ばれて、寄主であるナラ類に被害をもたらしていることが分かっています。今回、「カシノナガキクイムシ」の遺伝的変異を解析したところ、本州中部を境にして遺伝的な組成が大きく異なることが判明しました。この違いは「カシノナガキクイムシ」の寄主であるナラ類の遺伝的変異の分布とも一致し、両者が長くそれぞれの場所で共存してきたことを示しています。したがって、現在のナラ枯れ被害は、気候変動等により「カシノナガキクイムシ」が南西から北東へ急激に分布を拡大したためではなく、里山の放置等による樹木の大径木化など、他の環境変化に原因があることが強く示唆されます。
本成果の掲載論文
タイトル:Genetic structure of the oak wilt vector beetle Platypus quercivorus : inferences toward the process of damaged area expansion (ナラ枯れの媒介昆虫カシノナガキクイムシの遺伝的構造が示す被害エリアの拡大過程)
著者:加賀谷 悦子(森林総研)・斉藤 正一(山形県森林研究研修センター)・布川 耕市(新潟県森林研究所)・岡田 充弘(長野県林業総合センター)・野崎 愛(京都府)・津田 吉晃(ウプサラ大)
掲載誌:BMC Ecology(BMCバイオメッドセントラル生態学、英国)、10巻(2010年)21(オンラインジャーナル)
doi: 10.1186/1472-6785-10-21(外部サイトへリンク)
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独立行政法人 森林総合研究所 理事長 鈴木 和夫 |
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