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プレスリリース平成24年12月20日
独立行政法人森林総合研究所

8~10月における渓流水中の放射性物質の観測結果

ポイント

  • 8~10月に福島県内2箇所で、森林から流れ出る渓流水を毎日14時の定時と雨が降り始めた時の二通りの場合で採取し、放射性セシウム134及び137の濃度を調べました。
  • 定時に採取した試料の大部分では放射性セシウムは不検出でしたが、一部の試料(175試料中6試料)から1.1~6.8 Bq/L(134と137の合計)の放射性セシウムが検出されました。これは、3月から7月までの観測結果と同様の濃度でした。
  • 降雨開始からおよそ1から3時間後に、渓流水が増加するとともに、懸濁物の量と放射性セシウム濃度が上昇しました。
  • 放射性セシウムが検出された30試料を濾過したところ、2試料の濾液から1.1~2.3 Bq/Lの放射性セシウムが検出されましたが、それ以外は不検出でした。このことから、渓流水中の放射性セシウムは、懸濁物質が主な由来と考えられました。

概要

独立行政法人森林総合研究所は福島県林業研究センターと協力して、福島県内2箇所(伊達市、飯舘村)で、森林から流れ出る渓流水の放射性セシウム濃度を8月1日から10月31日まで調べました。降雨開始後の濃度変化を詳しく調べるため、毎日定時(午後2時)に加え、降雨開始後に、1時間毎の採水も行いました。
その結果、定時に採水した大部分の渓流水(175試料中169試料)からは放射性セシウムは検出されませんでした。放射性セシウムが検出された試料の濃度(134と137の合計)は1.1~6.8 Bq/Lで、3月から7月までの観測結果と概ね同様でした。
降雨中1時間毎の採水は7回の降雨で行い(2箇所で1回12試料採取、計168試料)、そのうち24試料から1.1~48.5 Bq/L(134と137の合計)の放射性セシウムが検出されました。降雨による渓流の増水中に、渓流の放射性セシウム濃度が一時的に上昇しました。
放射性セシウムが検出された渓流水には懸濁物質が見られたため、濾過して再度測定したところ、降雨中に採取した2試料の濾液から1.1~2.3 Bq/L の放射性セシウムが検出されましたが、それ以外では不検出でした。これらのことから、一部の試料から放射性セシウムが検出されたことは、降雨により渓流水の流量が増加する際に見られる、一時的な懸濁物質の増加が主な理由と考えられました。

予算:農林水産省委託プロジェクト研究
「農地・森林等の放射性物質の除去・低減技術の開発(森林から流出する放射性物質の変動特性の分析)」

お問い合わせ

独立行政法人 森林総合研究所 理事長 鈴木 和夫

研究推進責任者: 森林総合研究所 研究コーディネータ 高橋 正通

研究担当者: 森林総合研究所 水土保全研究領域長 坪山 良夫

広報担当者: 森林総合研究所 企画部 研究情報科長 秦野 恭典
電話番号:029-829-8130 FAX番号:029-873-0844

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