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更新日:2012年7月11日
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問題名:先進開発地域の森林機能特性の解明とその総合的利用手法の確立
担当:関西支所土壌研究室 鳥居厚志
造林研究室 井鷺裕司
近年,西日本各地の里山で,タケが自然に分布を拡大して周囲の森林に侵入する様子が観察されており,その多くはモウソウチクである。モウソウチクは筍や竹材生産のために広く各地に植栽されたが,近年になって放置されるようになり,自然に分布を拡大しているらしい(口絵写真1(JPG:82KB), 2(JPG:132KB))。竹林の拡大は造林地への侵入や里山景観の変化,生物多様性の減少など社会的にも大きな問題である。そこでその実態を探るために,京都府下での過去数十年間の竹林分布の変化を調べた。
京都府南部の二つのエリア(田辺町,山城・井手町)に関し, 1/25000の地形図(1953年)と土地利用図(1975年),1/10000 の空中写真(1985年)から竹林と森林の分布を判読し,その変化を調べた。(口絵写真3(JPG:159KB))
結果を図lと表1に示す。両エリアともに年代を経るに従って,竹林は増加,森林はおおむね減少していた。1953年→1975年の時期の田辺エリアの森林の減少は主に宅地などの造成に由来しており,山城エリアの森林の増加は,主にはげ山の緑化に由来するとみられる。そして,この時期には,果樹園などのあとに竹林が成立している箇所が多かった。一方, 1975年→1985年には,竹林と森林がほぼ入れ替わっていた。すなわち1975年までの増加は筍・竹材生産のための植栽による部分が少なくないが, 1975年以後は「自然増」であると考えられ,これは過去の統計(筍・竹材の作付面積など)からも裏付けられた。
表層地質や地形との対応をみると,山城・井手町エリアの竹林分布は丘陵地・河岸段丘(表層地質は大阪層群堆積物と段丘堆積物)上に集中していた。田辺町エリアの丘陵地の表層地質も同様に大阪層群堆積物であり,マクロにみれば,今後もタケの拡大に不都合であるとは考えにくい。竹林の周囲はほとんど未利用のマツ・コナラ二次林や放棄田,荒れ地などであるため,人為的にもタケの侵入を阻止する要因は少ない。また現実にエリア内の各所で二次林内へタケが侵入し,周囲の樹木が被圧されている状況が観察されている。これらの点から,田辺町エリアの丘陵地では,今後もタケの分布拡大が続くと予想される。
田辺町エリア (総面積は1934ha) |
山城・井手町エリア (総面積は1539ha) |
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年 | 1953 | 1975 | 1985 | 1953 | 1975 | 1985 |
竹林の群落数 | 24 | 112 | 174 | 40 | 66 | 86 |
1群落の平均面積* | 0.73 | 1.42 | 1.59 | 1.36 | 5.24 | 5.03 |
竹林の合計面積* | 17 | 159 | 277 | 54 | 346 | 432 |
森林の群落数 | 23 | 42 | 53 | 23 | 42 | 48 |
1群落の平均面積* | 41.95 | 20.41 | 14.70 | 29.84 | 16.84 | 13.37 |
森林の合計面積* | 965 | 857 | 779 | 686 | 707 | 642 |
竹林+森林の面積* | 982 | 1016 | 1057 | 741 | 1053 | 1074 |
*面積の単位はha
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