研究紹介 > 刊行物 > 研究成果選集 > 第2期 中期計画成果集 > 重点課題アイa 生物多様性保全技術及び野生生物等による被害対策技術の開発
更新日:2011年6月10日
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課題群 アイa1「固有の生態系に対する外来生物又は人間の活動に起因する影響の緩和技術の開発」
外来種対策をいっそう進め、新たな外来種を生まないために、住民の意識調査を行い、教材としてトランプ型ゲーム「ピンチくん」を開発しました。これを用いたモデル授業で、生徒の意識がはるかに向上することを明らかにしました。
固有種を数多く産する海洋島の小笠原諸島は、外来生物の影響で独自の生態系が被害を受けています。外来生物の生態系への影響を解明し、外来生物制御と固有種保全に関する管理方法を提案しました。
広葉樹林での様々な人為活動が林分の種組成に与える影響を、シミュレーションモデルで評価しました。
日本では全国にまたがる長期的な生物の観測情報が不足していますが、既存の情報をもとに評価した結果、過去数十年間に急激な種数の減少はなかったことがわかりました。
課題群 アイa2「固有種・希少種の保全技術の開発」
オオタカの北海道と関東の個体群の生息予測図作成や遺伝子解析から、さまざまな保護区の設定法と保護区内での具体的な保全策を提案しました。
絶滅危惧種レブンアツモリソウをモデルとして、培養個体の販売を通じて保全を行える特定国内野生希少野生動植物種について、培養技術の確立、販売による保全施策の有効性、自生地での保全の現状と対策を検討しました。
広葉樹の遺伝的多様性を保全するために分布域全般の遺伝的多様性や遺伝的な違いを明らかにして、主要広葉樹について種苗の移動範囲を示す遺伝的ガイドラインを提案しました。
個体数の減少や小集団化が進み、次世代の更新が十分に行われていない希少樹種が多くあります。このような希少樹種では、それぞれの実状に応じた人為的管理が必要で、主な希少樹種保全の管理マニュアルを作成しました。
課題群 アイa3「緊急に対応を必要とする広域森林病虫害の軽減技術の開発」
天敵昆虫サビマダラオオホソカタムシを室内で増殖し、被害マツ林に放飼することによりマツノマダラカミキリを防除する手法を考案しました。
専門的な知識や技術を必要としない簡単なマツ材線虫病診断法を開発しました。枯れたマツの材内に存在するマツノザイセンチュウのDNAを検出することによって診断する方法です。
「光」と「匂い」の相乗効果でナガマドキノコバエ成虫を誘引し、強力な粘着シートで捕らえる、「LED 誘引捕虫器」を開発しました。
青森県をモデルケースとして、マツ材線虫病の侵入・拡大可能性の評価に基づく未侵入地域での対応指針を示しました。
ナラ枯れ防除法として、世界でも例のない「おとり木トラップ法」を開発しました。これと、翌年の被害場所を予測する技術とを組み合わせることで、ある面積の林全体を守るためのシステムを作り上げました。
課題群 アイa4「獣害発生機構の解明及び被害回避技術の開発」
ニホンジカの生息分布状況を把握するため、新たに地理情報システムの手法を応用してニホンジカの生息密度分布マップを作成しました。
ツキノワグマの大量出没対策を立てるため、食物変動に伴うクマの栄養状態、行動の変化に関する研究を行いました。これらの結果から、人里および周辺の環境整備によって出没を防止することが最も重要であると考えられました。
ツキノワグマの大量出没の年を予測する技術を開発しました。過去2年間の春と夏の気温、ブナの実の作柄から、ブナが豊作、凶作となる確率を、高い精度で計算することができるようになりました。
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