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世界の森林減少の状況

 現在、世界の森林面積は40億ヘクタール強となっています。世界の森林面積の変化を見ると、2000年から2010年まででおよそ5200万ヘクタールが減少したと推定されていますが、これは1990年から2000年までの減少量(およそ8300万ヘクタール)よりは低下しています。また、森林面積の推移を世界の地域ごとに見ると、以下のようになっています。

出所:FAO(2010)

 このように、南米、アフリカでは、全体として大規模な森林減少が続いています。一方で、アジアにおいては、1990年代には森林面積は減少し続けていましたが、2000年から2010年までは、森林面積が増加しています。これは、主に中国における大規模植林によるものですが、殆どの南アジア・東南アジア諸国では、いまだ森林減少が続いています。
 次に、各国における森林面積の変化を示します。

出所:FAO(2010)

 特に森林の消失面積が大きい国として、ブラジル、インドネシア、オーストラリアが挙げられます。これらのうち、ブラジルとインドネシアでは、近年になって森林の減少率が低下しつつあります。その一方で、オーストラリアでは、2000年以降になってから干ばつや森林火災の影響でむしろ森林減少に拍車が掛かっています。

 世界の森林のおよそ36%が、原生林と呼ばれる人間の手が殆ど入っていない状態のまま保たれており、また生態系も撹乱されていない在来樹種の森林です。原生林、なかでも熱帯湿地林は、地球上において生物多様性がもっとも豊富なエリアであるとも言われています。ですが、伐採やその他の人間活動によって、過去10年間でこの原生林が0.4%減少したとされています。

 一方で、世界の植林面積は増加傾向にあり、現在世界全体の森林面積のおよそ7%、2億6400万ヘクタールを占めるまでに至っています。2005年から2010年の間に、毎年およそ500万ヘクタールずつ植林が行われてきました。その多くは新規植林(近年まで森林でなかった土地への植林)であり、上述したように、特に中国における植林面積の増加が顕著となっています。

 森林減少は主に熱帯林の農地への転換によって起きています。とくに、アブラヤシ、ゴム、大豆、コーヒー、ココアなどの商品作物や輸出用農産物の生産拡大が重要な原因となっています。しかしながら森林減少のプロセスは複雑で、農地転換だけで説明できるケースは希です。国や地域によって異なる複数の直接要因と背景要因が組み合わさって、森林減少が起きています(下図)。直接要因としては、農地転換の他に、道路建設などのインフラストラクチャー整備、非持続的な商業伐採、燃料材採取などがあげられます。背景要因としては、市場経済の拡大、貧困、人口増加、土地所有制度の不安定さ、脆弱な制度・行政組織などの社会経済的要因や政治行政的要因が議論されています。

 このように途上国における森林の減少は、林業・林産業だけでなく、農業をはじめとする他の産業活動によるところが大きいため、森林減少に実効性のある対策をとるためには、林業・林産業とともにそれ以外の産業部門への働きかけが必須となります。

 以上のような森林減少による二酸化炭素排出は、世界全体における二酸化炭素排出量の2割ほどを占めるとされています。これは、化石燃料由来の排出に次いで大きいものとなっています。

 IPCC第4次評価報告書では、「森林分野における気候変動の緩和策は他分野に比べて低コストで、排出削減及び吸収源増加の両方に大きく貢献することが可能である」と述べられています。また、「森林分野における気候変動緩和ポテンシャルのおよそ65%が熱帯に存在し、森林減少の抑制、劣化の防止の取り組みによっておよそ50%が達成可能である(炭素価格が、二酸化炭素換算でトン当たり100USドルの場合)」とされています。

 しかしながら、現行の気候変動枠組条約では、このような熱帯を含む開発途上国の森林減少を抑止する仕組みが設けられていません。こういった経緯から、将来の気候変動対策の枠組みの構築に向けて、REDDについての国際的な議論が続けられています。

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