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西日本のツキノワグマ地域個体群にも「緑の回廊」を

2004年7月27日掲載

論文名 Phylogenetic Relationships Among Fragmented Asian Black Bear (Ursus Thibetanus) Populations in Western Japan.(西日本のツキノワグマ分断化個体群間の系統関係
著者(所属) 石橋 靖幸(北海道支所)、齊藤 隆(北海道大学)
掲載誌 Conservation Genetics(保全遺伝学雑誌、オランダ)、5巻3号、2004年6月
内容紹介

 近畿・中国地方のツキノワグマ個体群成立の歴史的背景を明らかにするため、ミトコンドリアDNAの塩基配列を調べた。塩基配列の分化の程度は小さく、種内レベルに収まる程度であったが、京都府北部の由良川を境に東西2つの系統への分化がみられた。これは1万5千年ほど前の最終氷期の影響により生じた結果と考えられた。核遺伝子の多様性を調べた報告では、由良川以西の孤立・半孤立集団は、東側集団と比べて著しく多様性が低いことが指摘されている。近畿・中国地方に残る集団を遺伝的劣化による絶滅から回避するには、生態的回廊を設けて由良川の東側から西側への個体の移動を促す必要がある。

 

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