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雨水に時間のラベルを付ける

2007年6月25日掲載

論文名 Estimation of mean residence times of subsurface waters using seasonal variation in deuterium excess in a small headwater catchment in Japan (日本の源頭部小流域におけるd値の季節変動を用いた地中水の滞留時間の推定)
著者(所属) 壁谷 直記(水土保全研究領域)、勝山 正則(地球研)、川崎 雅俊(サントリー)、 大手 信人(東京大)、 杉本 敦子(北海道大)
掲載誌

Hydrological processes(水文過程、イギリス)、21巻3号、2007年1月

内容紹介  今、山に降り地中にしみ込んだ雨は、川となって流れ出るまでどのくらい地中に留まっているのでしょうか。日本では、雨の元となる水蒸気の発生場所(太平洋や日本海)が、季節によって異なります。さらに、水蒸気中の水素・酸素の両安定同位体の関係(d値=δD-8δ18O)が水蒸気の発生場所によって異なるため、日本では雨中のd値に一年周期の明瞭な季節変動が毎年安定して見られます。本研究では、d値をトレーサーに用いることにより、ひと月~5年程度までの水の滞留時間を、従来と比べて省力的に推定する方法を開発しました。滋賀県の花崗岩流域で採集した湧水や地下水のd値を求めて、水の滞留時間を調べたところ、例えば地下20cmの土壌水では2ヶ月間、地下75cmの地下水では7ヶ月間、水が滞留していることがわかりました。本方法は、水蒸気の供給源が季節的に変化する他のアジアモンスーン地域でも幅広く活用することができます。

 

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