研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2009年紹介分 > 熱帯二次林のバイオマス量を、地下部も含めて高精度に推定することに成功
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2009年9月3日掲載
論文名 | Development of allometric relationships for accurate estimation of above- and below-ground biomass in tropical secondary forests in Sarawak, Malaysia(マレーシア熱帯二次林における地上部と地下部の高精度なバイオマス推定式の構築) |
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著者(所属) | 田中 憲蔵(国際連携推進拠点)、市栄 智明・服部 大輔(高知大学)、市岡 孝郎・半田 千尋・大久保 忠浩(京都大学)、J.J.Kendawang(サラワク森林局)、中村 理志・坂口 麻里・高橋 成美・岡本 真由美(高知大学)、田中 あゆみ(東京大学)、櫻井 克年(高知大学)、二宮 生夫(愛媛大学) |
掲載誌 |
Journal of Tropical Ecology(熱帯生態学雑誌、イギリス)、2009年 |
内容紹介 | 東南アジアの熱帯林は、炭素の重要な貯蔵源ですが、人間活動により急速に天然林から二次林に変化しています。この変化は、森林が貯蔵している炭素量を減少させると考えられますが、具体的な推定を行なうには精度の高いバイオマス推定式が必要です。これまで熱帯林が持つ炭素量を調べるために、いくつかのバイオマス推定式が考案されてきました。しかし、既存の推定式の多くは天然林の地上部のデータを元に作られたもので、二次林を対象とした式は少なく、地下部に至っては皆無で、正確な炭素貯蔵量の推定が出来ませんでした。そこで私たちは、マレーシア・サラワク州で、マカランガ(Macaranga)など様々な二次林樹種の掘り取り調査を行い、木の直径や樹高から、地上部と地下部のバイオマスを推定するアロメトリー式を作りました。作成した推定式は、地上部、地下部共に樹種に関係なく1つの式で近似することが可能で、相関係数も0.9以上の高い精度を持つことが分かりました。また、既存の天然林のために作られた式で二次林のバイオマスを推定すると、数倍もの過大評価をしてしまう可能性があることも明らかにしました。今回提案した推定式を用いることで、熱帯二次林の地下部も含めた炭素貯蔵量を高い精度で評価することが可能になったため、今後、地球規模での炭素循環の解明に活用されることを通じて、温暖化防止に関する様々な施策に貢献できます。 |
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