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土壌病原菌キンイロアナタケの驚異的な伝染
 -地中を70mも伝播していた-

2009年11月17日掲載

論文名 Distribution of genets of Perenniporia subacida in stands of Chamaecyparis obtusa (Japanese cypress) determined by AFLP fingerprints and somatic incompatibility(AFLP法と対峙培養により決定されたヒノキ林内でのキンイロアナタケのクローン分布
著者(所属) 田端 雅進(森林微生物領域)、陶山 佳久(東北大)、阿部 恭久(日本大)
掲載誌

plant disease(アメリカ植物病理学会誌、アメリカ)、2009年

内容紹介  近年、サルノコシカケの一種、キンイロアナタケ(Perenniporia subacida)による土壌病害が四国・中国地方のヒノキ林で顕在化しています。この病気は、ヒノキに侵入し、木の内部を腐朽させることが知られているため、早急に適切な防除法を確立することが求められています。防除法を確立するには、本菌が土壌中でどのような広がりを見せているのかを、まず解明する必要があります。そのため、本研究では、キンイロアナタケのクローン(同一の遺伝子型)の分布を調査しました。その結果、ひとつのクローンだけでも最大で70mという広範囲にわたって菌が広がるという事実が確認されました。また、菌が伝播する仕組みを調べたところ、本菌は隣接している生立木の根と根の接触部から感染することが明らかになりました。このことから、本菌は生立木の根を伝って、ヒノキ林内で広範囲に蔓延していくと考えられました。今後、この研究結果をもとに、土壌病原菌の伝播機構をさらに詳しく解明し、土壌伝染性病害の防除につなげることを目指します。

 

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