研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2010年紹介分 > あのガもこのガもひそやかに恋を語る -超音波のラブソングは普遍的だった
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2010年3月17日掲載
論文名 | Moths are not silent, but whisper ultrasonic courtship songs (ガ類は音をださない訳ではなく、超音波のラブソングをささやく) |
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著者(所属) | 中野 亮(理化学研究所)、高梨 琢磨(森林昆虫研究領域)、藤井 毅(東京大学)、Niels Skals、Annemarie Surlykke(南デンマーク大学)、石川 幸男(東京大学) |
掲載誌 |
Journal of Experimental Biology(実験生物学誌、イギリス)、212巻24号(4072-4078) |
内容紹介 | ガ類は国内だけでも5000種以上と非常に種数が多く、多数の森林害虫が含まれており、防除のための新技術の開発が望まれています。ある種のガでは配偶行動に際して雌雄が超音波を用いて交信することが知られていますが、報告例は非常に少なく例外的とされてきました。しかし広く調べてみたところ、ヤガ科、ヒトリガ科、メイガ科、ツトガ科、シャクガ科等13種のうち9種で、微弱な超音波によるラブソングの存在が明らかになり、ガ類において一般的であることが分かりました。これらの超音波は、測定距離1cmで43月76日dB SPL(音圧レベル)で、ごく近距離でしか有効でないため、天敵や競争相手による盗聴を避けることができるという利点があります。この結果は、ガをはじめとする昆虫の音による交信とその進化についての重要な発見であるとともに、将来は超音波を用いた害虫管理に応用できる可能性もあります。 |
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