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野外の土壌においても人為的に根粒菌を接種すればオオバヤシャブシの成長は向上する

 2010年6月10日掲載

論文名 Effects of Frankia inoculation on the growth of Alnus sieboldiana in unsterilized soil(非滅菌土壌におけるフランキア菌接種のオオバヤシャブシ成長への影響)
著者(所属) 山中 高史・岡部 宏秋(森林微生物研究領域)、小林 久泰(茨城県林業技術センター)
掲載誌

Journal of Forest Research(日本森林学会英文誌:日本) 14巻3号、2009年6月

doi:10.1007/s10310-009-0119-7(外部サイトへリンク)

内容紹介  オオバヤシャブシなどのハンノキ属樹木の根には根粒が形成されており、そこで大気中の窒素を獲得して栄養分として利用します。そのため、これらの樹木は荒廃地などでも良好に成長し、緑化などに用いられています。根粒は、共生微生物の一種である根粒菌が感染して形成されるため、根粒菌の活用で荒廃地の緑化や森林再生は効果的にすすむことが期待されます。しかし、野外の多種多様な微生物が存在する場合でも、その効果が認められるのかは不明でした。そこで今回、滅菌していない苗畑や森林の土壌で根粒菌を接種したオオバヤシャブシ苗を育てたところ、接種していない苗に比べて、森林土壌で1.3倍、苗畑土壌で1.6倍に成長しており、根粒菌の効果が認められました。この結果により、苗畑及び緑化対象地などの実用レベルにおいても根粒菌の接種が樹木成長促進に効果的であることが判り、根粒菌を用いた荒廃地の植生回復技術や、再生可能バイオマス資源の供給のため効率的かつ省力的育林技術の開発が進展します。

 

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