研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2010年紹介分 > 小さな巣ほど天敵の寄生率が高くなるのはなぜ? -スズメバチと寄生天敵との関係-
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2010年6月10日掲載
論文名 | Smaller nests of the hornet Vespa analis (Hymenoptera, Vespidae) are more severely affected by the strepsipteran parasite Xenos moutoni (Strepsiptera, Stylopidae) than are larger nests(コガタスズメバチは小さな巣のほうが大きな巣よりネジレバネ寄生の影響を強く受ける) |
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著者(所属) | 牧野 俊一・山浦 悠一(森林昆虫研究領域)、山内 博美(名古屋市生活衛生センター) |
掲載誌 |
Insectes sociaux (国際社会性昆虫学会誌、スイス)、57巻1号、2010年3月 |
内容紹介 | 全国で毎年数十人の死者をもたらすスズメバチは、森林で働く者にとっても大きな脅威です。天敵を使ってスズメバチの数や巣の大きさを減らせないものでしょうか。ネジレバネという天敵は、本来は巣のための仕事をする「働きバチ」に寄生して、全くの「怠け者」にしてしまう天敵です。巣内の働きバチが寄生される割合と巣の大きさとの関係をスズメバチの1種で調べて見ると、寄生率が高いほど巣が小さくなる傾向がありました。一見すると、寄生による怠け者の増加によって巣の発達が阻害されるように見えますが、実際には因果関係が逆で、小さな巣ほど寄生率が高くなりやすいことがわかりました。営巣条件が悪いなどの原因でもともと小さな巣では、少数の働きバチが寄生されただけで寄生率が高くなってしまうのがその理由と考えられます。スズメバチには他にも様々な天敵が知られていますが、巣の数や大きさに対する影響は未知のものが大多数です。私達は、こうした研究を広く行うことにより、刺傷事故を減らすのに有望な天敵を探し、その利用法を開発したいと考えています。 |
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