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2010年7月8日掲載
論文名 | Genetic variation among Japanese populations of Platypus quercivorus (Coleoptera: Platypodidae), an insect vector of Japanese oak wilt disease, based on partial sequence of nuclear 28S rDNA(カシノナガキクイムシに見られた遺伝的変異とその分布パターン) |
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著者(所属) | 濱口 京子(関西支所)、 後藤 秀章(九州支所) |
掲載誌 |
Applied Entomology and Zoology(応用動物昆虫学会英文誌)45巻2号、2010年5月 |
内容紹介 | 1980年代以降、九州から本州にかけての広い地域でナラ・シイ・カシ類の樹木が大量に枯れるナラ枯れが問題となっています。ナラ枯れは、カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)という甲虫が病原菌を媒介することによって生じます。では、どの地域でも被害を起こしているカシナガはみな全く同じものなのか、それとも何らかの地域差があるのか?これは広い地域に被害が生じる仕組みを明らかにするうえで、まず調べておきたい問いかけです。これまでに、カシナガの体サイズに地域差があることが報告されていますが、遺伝的な地域差についての調査が待たれていました。そこで、本研究ではリボソームDNAの部分塩基配列に基づいたカシナガの地域変異解析を行いました。その結果、国内のカシナガには別種に相当するほど遺伝的に隔たる2つのグループが存在し、それらが異なる地域でナラ枯れを生じさせていることが明らかになりました。今後は、それぞれのグループの由来や、なぜ別種ほどに異なるグループの両方がほぼ同時期に、被害を起こすようになったのかを解明していく必要があります。 |
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