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地形を高速・低コストで分類する手法の自動化

2013年1月11日掲載

論文名 Automated segmentation of hillslope profiles across ridges and valleys using a digital elevation model(数値標高モデルを用いた尾根から谷への斜面断面の自動区分)
著者(所属)

松浦俊也(森林管理研究領域)、安仁屋政武(筑波大学生命環境科学研究科)

掲載誌

Geomorphology 177-178: 167-177, Elsevier, 2012年10月 DOI: 10.1016/j.geomorph.2012.07.024

内容紹介

植生や土壌、木材生産力など森林の状態は、地形の影響を強く受けています。山がちなわが国では、森林の利用や保全にあたって地形の特徴を的確に捉える必要があります。近年、地表の面的な標高データである数値標高モデルを用いて、斜面形状を自動計測する手法が開発され、その一部はGIS*ソフトウェアに組み込まれつつあります。しかし、現在の数値標高モデルを用いた地形解析手法の多くは、従来、空中写真の目視判読や現地調査によって手作業で行われてきた地形分類の手順とは異なる方法を採用しているため、地形に対応した環境条件の違いを的確に捉えることが困難です。一方、従来の目視判読にも、判読者による差や作業量が大きく、広い地域の比較は不可能という難点があります。

そこで、従来の手作業による地形の認識手順を、数値標高モデルを用いて自動化し、広域を対象に、従来方法と互換性のある基準にもとづいて斜面形状を分類する新手法を開発しました。起伏の異なる国内各地の小地形分類に本手法を適用したところ、熟練者による判読結果と平均87~89%一致する信頼度の高い結果が得られました。本手法によれば、従来の手作業と同様の手順に従いつつ、誰が操作しても均質な地形分類結果が高速・低コストで得られます。

本手法は木材生産や土砂崩壊の予測など、森林の利用や保全管理への活用が期待されます。

* Geographic Information Systems(地理情報システム)の略で、人工衛星、現地踏査などから得られたデータを、コンピュータ上で地図と結びつけて統合的に表現し、位置や場所からさまざまな情報を分析したり、分かりやすく地図に表現したり、検索・編集できる仕組み。行政やビジネスの現場、市民生活で幅広く利用されている。

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