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2013年2月21日掲載
論文名 | 平成24年5月6日に茨城県常総市からつくば市にかけて発生した竜巻による森林被害 |
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著者(所属) |
鈴木 覚・後藤 義明・北村 兼三・高梨 聡・岡野 通明・野口 宏典・大谷 義一・坂本 知己(気象環境研究領域) |
掲載誌 | 日本森林学会誌 95(1), 32-36, 2013 DOI:10.4005/jjfs.95.32(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
強風で林木が倒れたり、幹が折れたりする森林被害が、毎年どこかで発生しています。わが国でも竜巻による森林被害はわずかに報告されていましたが、強風が竜巻によるものかどうかの判断は難しく、竜巻による森林被害の発生形態はよくわかっていませんでした。 平成24年5月6日に茨城県常総市からつくば市にかけて竜巻が発生し、森林にも大きな被害を引き起こしました。竜巻の強さを表す藤田スケールではF3に分類され、国内では観測史上最大級の竜巻でした。竜巻の経路上の森林5カ所で、被害地の面積、樹種、被害形態、倒木・幹折れ方向を現地調査や航空写真により確認しました。航空写真は竜巻発生の翌日に撮影された国土地理院の高解像度オルソ画像を用いました。 この竜巻により、ほぼすべての林木が被害を受けるような壊滅的な森林被害が約100mの幅で帯状に発生していました。帯状の部分が竜巻の経路であり、帯の幅が竜巻の大きさや強さを反映していると考えられました。一般に、針葉樹では、幹が太くて樹高が低いもの、葉が梢端近くだけでなく低い位置から分布しているものは強風の被害を受けにくく、また、針葉樹よりも広葉樹が被害を受けにくいといわれています。しかし、竜巻の経路上では樹形や樹種に関わらず、壊滅的な被害が生じました。また、帯状部分では帯の真ん中に向かって林木が倒れる傾向が見られました。これは、空気が中心に向かって回転しながら収束する竜巻の特徴を反映したものと思われます。被害の帯の末端には、直径300m程度の大きさで円形に被害が発生した場所があり、ここで竜巻が消滅したと考えられました。 今回の調査で竜巻による森林被害の特徴を見いだすことができました。この成果は森林被害の発生原因の特定や、竜巻の大きさや強さなどの推定に利用できます。 |
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