研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2013年紹介分 > 衣食足りて森林減少が止まる ~途上国の森林減少を抑制するには社会経済発展が重要~
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2013年3月28日掲載
論文名 | Forests and Human Development: An Analysis of the Socio-Economic Factors Affecting Global Forest Area Changes (森林と人間開発:森林面積変化に与える影響の社会経済要因の分析) |
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著者(所属) |
道中 哲也(温暖化対応推進拠点)、宮本 基杖(森林総合研究所北海道支所) |
掲載誌 | Journal of Forest Planning、18(2)、 森林計画学会、2013年3月、印刷中 |
内容紹介 |
開発途上国における森林減少・劣化からの二酸化炭素の排出は、人為起源の二酸化炭素の総排出の約2割に相当すると言われています。そのため、開発途上国の森林減少・劣化を抑制していくのは温暖化対応として緊急な課題です。森林減少・劣化が進んでいる国がどうすれば森林を保全していけるのか、対策が求められています。 本研究では、国連開発計画(UNDP)が公表している人間開発指数に含まれる各国の寿命、教育、所得という三要素、さらに総人口、農村人口率、農業総生産が、その国の森林にどのような影響を与えたかを分析しました。 その結果、所得の低い国では人口増加は森林を減少させますが、所得の高い国では人口増加は逆に森林保全を促す傾向があることを明らかにしました。また、所得の高い国では、農村人口率が増加すると森林面積が増加する傾向がみられ、所得が高く教育水準が向上した途上国においては、国民の所得が上昇するにつれて森林減少・劣化が止まり、森林保全が進むことも明らかにしました。 この研究成果は、開発途上国における森林減少・劣化を抑制するには、規制や罰則に頼るのではなく、所得、教育、医療などを向上させ、貧困を減らし社会経済を発展させることが森林保全に有効であることを示しています。今後、開発途上国が森林保全を進めるための政策を策定する上で役立つものです。 |
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