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2013年4月26日掲載
論文名 | Strength properties and effect of moisture content on the bending and compressive strength parallel to the grain of sugi (Cryptomeria japonica) round timber |
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著者(所属) |
井道 裕史・長尾 博文・加藤 英雄・三浦 祥子(構造利用研究領域) |
掲載誌 | Journal of Wood Science、The Japan Wood Research Society、2012.09、DOI: 10.1007/s10086-012-1297-z(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
木材の需要拡大のために、これまで木材があまり使われてこなかった分野にも木材を利用しようという動きが広がっています。その一つとして地中があります。かつては旧丸ビル(丸の内ビルディング)の基礎杭としてベイマツ丸太が使われるなど、木材は地中でも使われていましたが、戦後の木材不足の影響で、近年では鉄やコンクリートに置き換わってしまいました。木材を地中に用いることで、木材に含まれる二酸化炭素を長期間大量に地中に保存することも期待できます。 ところで、木材を地下水があるような土中で使用した場合、木材の内部は完全に水で満たされることになります。木材に含まれる水分が増えると、乾燥している場合に比べて強さは低下します。それでは、水分で満たされた丸太は、基礎杭として必要な強さを持っているのでしょうか? 本研究では、わが国の代表的な樹種であるスギを用いて調べたところ、乾燥させた丸太に比べて水分で満たされた丸太は、曲げ強さ、縦圧縮強さともに若干低下しましたが、いずれも構造設計の際に用いられる基準値を上回りました。また、今回の成果や、過去の研究事例をまとめたところ、木材のサイズが大きいほど、水分増加に伴う強さの低下が小さい傾向にあることがわかりました。そのため、丸太は住宅用の製材品に比べてサイズが大きいので強度低下が小さいと言えます。 水分で満たされたスギ丸太の強さを明らかにしたことで、今後土中などの新たな分野で、木材の利用が進むことが期待されます。 |
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