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針葉樹のならたけ病の犯人をつきとめた

2013年7月24日掲載

論文名 日本の針葉樹上に生息するナラタケ属菌
著者(所属)

長谷川 絵里(関西支所)、太田 祐子(森林微生物研究領域)、服部 力(関西支所)、佐橋 憲生(森林微生物研究領域)、菊地 泰生(宮崎大学)

掲載誌 森林防疫 (2013)、62、2013,1
内容紹介

ならたけ病は、ナラタケという、きのこの仲間が、多くの種類の樹木に根腐れと枯死を引き起こす病害として知られています。近年、ナラタケと呼ばれるきのこにはいくつもの種類があることが分かってきましたが、それぞれの種を外見から見分けるのが難しいことと、ナラタケ類がならたけ病以外の原因で枯死した樹木にも発生するため、どの種がどのような条件でどの樹木のならたけ病を起こすのかはよく分かっていませんでした。

そこで、この研究では、DNAの解析により種を識別し、ナラタケ類の種ごとの生態を解明し、ならたけ病の原因となる菌を特定しました。その結果、日本の針葉樹に生息する主なナラタケ類は、ナラタケ・ツバナラタケ・ホテイナラタケ・クロゲナラタケの4種で、それぞれが異なる環境に生息することが分かりました。これらのうちナラタケは比較的暖かい地域で主にヒノキを、ホテイナラタケはシラビソやカラマツといった寒冷地の針葉樹を、ツバナラタケはトドマツ・アカマツ・ヒノキなど10種を、クロゲナラタケはスギをはじめとする8種をという具合に、様々な樹種を栄養源として利用していました。ナラタケ・ツバナラタケ・クロゲナラタケ・ナラタケモドキは、衰弱木と枯死直後の樹木から採取され、日本の針葉樹のならたけ病の原因となる菌と考えられました。

今回の知見は、ならたけ病の地域・菌種・樹種に即した防除・被害回避法の開発につながると期待されます。

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