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ドングリの林でマツタケを作れるか? ―ブナ科苗へのマツタケ菌根形成を確認―

2014年2月21日掲載

論文名

The host ranges of conifer-associated Tricholoma matsutake, Fagaceae-associated T. bakamatsutake and T. fulvocastaneum are wider in vitro than in nature (針葉樹林で発生するマツタケや、広葉樹林に発生するバカマツタケやニセマツタケは、実験系では野外に比べて広範囲の樹木に菌根を形成する)

著者(所属)

山中 高史・太田 祐子(森林微生物研究領域)・今埜 実希(宮城県林業技術総合センター)・河合 昌孝(奈良県林業技術センター)・太田 明(滋賀県森林センター)・根田 仁(きのこ・微生物研究領域)・寺嶋 芳江(琉球大学)・山田明義(信州大学)

掲載誌

Mycologia 106, 397-406, May 2014, DOI:10.3852/13-197(外部サイトへリンク)

内容紹介

マツタケは、マツなどの針葉樹林で発生するキノコです。マツタケの仲間には、ナラやカシなどの広葉樹林で発生するバカマツタケやニセマツタケもあります。しかし、当研究所ではこれまでにマツタケを他の広葉樹苗で育てることに成功しており、近縁種だけでなくマツタケそのものもナラで育つのではないかと期待できます。また、近縁種のうちバカマツタケは、マツタケ同様の香りを有する食用きのこで、人工栽培が可能となれば有用だと考えられます。

今回、マツタケ、バカマツタケ及びニセマツタケを、糖などの養分を多く含んだ土壌で育て、そこへアカマツ、コナラ、ウバメガシをそれぞれ植えたところ、全ての組み合わせにおいて菌根を形成しました。自然界ではマツタケはマツ林で発生し、バカマツタケやニセマツタケはナラやカシの林で発生します。しかし、今回の結果は、これらのキノコと宿主との対応関係が強い結びつきではなく、シイやカシの林でマツタケを作れる可能性があることを示しました。また、様々な樹種を用いたバカマツタケやニセマツタケの栽培技術の開発が可能であることも示しました。

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