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東アジアの渡り鳥の守り方、教えます

2014年6月2日掲載

論文名

Migratory songbirds in the East Asian-Australasian Flyway: a review from a conservation perspective (東アジア—オーストラリア経路の渡り鳥:保全的見地からの総説)

著者(所属)

DING LI YONG(オーストラリア国立大学)、 YANG LIU(中山大学)、  BING WEN LOW(東南アジア生物多様性協会)、 CARMELA. P. ESPAÑOLA(フィリピン大学)、CHANGYONG CHOI(ソウル大学)、川上 和人(野生動物研究領域)

掲載誌

Bird Conservation International DOI:10.1017/S0959270914000276(外部サイトへリンク)

内容紹介

東アジアから東南アジアを経由しオセアニアにいたる地域は、多くの渡り鳥のルートになっています。そのうち、大型の渡り鳥は発信器をつける調査などで移動経路や利用する環境がよく調べられていますが、体重が軽く発信器がつけられないスズメ目の小鳥は情報も少なく、まとめられることもありませんでした。その中には多くの絶滅危惧種が含まれており、保護のためには、繁殖地だけでなく、越冬地や中継地の環境も保全する必要があります。日本でも、イイジマムシクイやシマアオジ、チゴモズなど、多くの渡り鳥が環境省のレッドリストに掲載されています。そこで、東アジア、東南アジア、オーストラリアの各地の研究者と連携し、これまでに各地で行われた様々な調査記録をまとめ、スズメ目の渡り鳥が利用する環境を明らかにしました。その結果、東アジアの渡り鳥は、ヨーロッパの渡り鳥よりも、越冬地として森林をよく利用することがわかりました。このため、東南アジアや中国南部など、越冬地としてよく利用される地域の森林の減少や劣化は、渡り鳥にとって大きな脅威となります。また、越冬地や中継地での捕獲、外来種による捕食や競合、人工建造物への衝突なども、渡り鳥に悪影響を与えていました。

野生の鳥には国境はありません。渡り鳥保全のためには、国際的な連携が重要です。

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