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2014年7月10日掲載
論文名 |
Proximate and underlying causes of forest cover change in Peninsular Malaysia (半島マレーシアにおける森林面積変化の直接的および根本的原因) |
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著者(所属) |
宮本 基杖(研究協力科)、Mohd Parid Mamat・Noor Aini Zakaria (Forest Research Institute Malaysia)、道中 哲也(林業経営・政策研究領域) |
掲載誌 |
Forest Policy and Economics, 44 (2014) 18-25, DOI: 10.1016/j.forpol.2014.05.007(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
世界の森林減少は、環境保全だけでなく、気候変動の観点からも注目されており、解決が求められています。森林減少の問題解決には、それを引き起こす原因とともに、抑制する原因を明らかにする必要があります。これまでに直接的原因は主に農地拡大であることが明らかになりましたが、根本的原因や森林減少を抑制する原因については様々な要因が議論されてきました。 本研究では、半島マレーシアを対象に、森林面積、土地利用、林業、社会経済に関する長期データ(1970-2010)を用いて、森林面積変化の要因分析を行いました。その結果、貧困削減が森林減少の減速に強い影響を与えたことが明らかになりました。これまで主要因として議論されていた人口増加や経済成長は主な原因でないことが明らかになりました。 この地域では1970年代に森林を開拓して、油ヤシ農園に転換する開発が盛んでした。しかし、油ヤシ農園の拡大は同時に農民の所得を向上させ、貧困率の低下に貢献しました。それ以外の貧困対策も加わり、1970年代50%を超えていた貧困率が1980年代には20%へと大幅に低下しました。その結果開拓のための農地需要は減少し、1980年代以降の森林減少速度を長期にわたり減速させました。これらの結果は、貧困削減が森林減少の抑制に有効であることを示す画期的な証拠であり、森林減少の解決策を検討する上で重要な知見です。 |
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