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2014年8月7日掲載
論文名 |
Dependence of runout distance on the number of rock blocks in large-scale rock-mass failure experiments (大規模な崩落実験における運動距離の岩解個数に対する依存性) |
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著者(所属) |
岡田 康彦(水土保全研究領域)、内田 一平(京葉瓦斯株式会社) |
掲載誌 |
Journal of Forest Research, 19(3), The Japanese Forest Society, June 2014, DOI: 10.1007/s10310-013-0425-y(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
わが国は狭い国土に急な斜面の山地地形が多く、豪雨や地震に見舞われると度々山が崩れ、岩塊が崩落する事故が発生します。国土を保全し、人命を危険から守るためには、崩落や岩塊流下の機構を解明して、岩塊の移動距離を予測することが重要な課題です。 そこで、一辺0.1mの立方体の花崗岩の岩塊を最大で1千個積み上げて岩塊群(一辺1mの立方体)を作成し、勾配35度、長さ4mの斜面を流下させる実験を行いました。また、数値モデルにより一辺0.1mの立方体の岩塊の流下過程を同様の条件で数値実験しました。その結果、崩落が終了して斜面下部に堆積した岩塊群の移動距離は、崩落させた岩塊群の体積が大きい(つまり、積み上げた岩塊の個数が多い)方が短くなることが明らかになりました。この機構を数値モデル実験により検討したところ、岩塊の個数が多い場合は、斜面の途中で周囲の岩塊と衝突する回数が多く、衝突する毎にエネルギーを消失するので、移動距離が短くなることがわかりました。 従来は、崩落する岩塊群の体積が大きいほど斜面を流下する距離は大きいとされてきました。しかし、体積が1m3程度までの場合には、これまでの知見と逆の結果になることが野外実験からも数値モデル解析からも明らかになりました。この成果は、今後の防災減災対策に有効に利用できると期待されます。 |
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