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2015年9月9日掲載
論文名 |
Comparison of the effects of olfactory stimulation by air-dried and high-temperature-dried wood chips of hinoki cypress (Chamaecyparis obtusa) on prefrontal cortex activity. (天然乾燥および人工乾燥ヒノキ材チップの嗅覚刺激が脳前頭前野活動に及ぼす影響) |
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著者(所属) |
池井 晴美(構造利用研究領域)、宋 チョロン(千葉大学環境健康フィールド科学センター)、李 宙営(韓国山林庁)、宮崎 良文(千葉大学環境健康フィールド科学センター) |
掲載誌 |
Journal of Wood Science, June 2015(オンライン), DOI: 10.1007/s10086-015-1495-6(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
今、「自然」が人にもたらすリラックス効果に注目が集まっています。木材は日常生活における代表的な「自然」素材ですが、その生理的リラックス効果について、科学的には良くわかっていません。 一般に、木材は、変形や収縮を防ぐため、乾燥してから使われます。乾燥方法としては、「天然乾燥法」と熱を加える「人工乾燥法」があります。近年は人工乾燥が増加しているのですが、高い温度で加熱すると揮発性の高い香り成分が少なくなってしまいます。 本研究においては、日本の代表的な樹種のひとつであるヒノキ材のチップ(木片)を用いて、天然乾燥した場合と高温で熱処理した場合の香りが人の脳活動に及ぼす影響を調べました。「脳波」ではなく、最近開発された「近赤外分光法」と呼ばれる光を使った測定法です。製材後45ヶ月間天然乾燥したヒノキ材と120℃で熱処理したヒノキ材それぞれについて、チップの香りを女子大学生19名に90秒間嗅いでもらいました。その結果、普段から活動しすぎている脳前頭前野活動は、120℃で熱処理したチップでは変化は認められませんでしたが、天然乾燥チップでは鎮静化することが分かりました。 これにより、揮発性の高い香り成分が残る天然乾燥したヒノキ材チップは、香りを嗅いだ人の脳前頭前野をリラックスさせることが、世界で初めて明らかとなりました。 |
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