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2015年10月16日掲載
論文名 |
Growth characteristics of ectomycorrhizal seedlings of Quercus glauca, Quercus salicina, and Castanopsis cuspidata planted on acidic soil (酸性土壌に植栽したアラカシ、ウラジロガシおよびツブラジイの菌根感染苗の成長特性) |
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著者(所属) |
香山 雅純(国際農林水産業研究センター)、山中 高史(森林微生物研究領域) |
掲載誌 |
Trees, 28, 569-583, April 2014, DOI:10.1007/s00468-013-0973-y(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
菌根菌には、樹木の根に共生して必要な養分を土壌から集め樹木に受け渡すはたらきがあります。このため、菌根菌は、火山噴火や豪雨により土壌と養分がなくなってしまった自然災害跡での緑化に活用できると期待されてきました。スギ一斉人工林を広葉樹林に転換する際にも、菌根菌の助けを利用できないでしょうか。 今回、シイやカシと共生する菌根菌が消失したスギ人工林皆伐跡の土壌に、シイやカシと共生する菌根菌のツチグリとニセショウロをシイやカシの実生苗にあらかじめ感染させて、人工植栽しました。その結果、菌根菌を感染させた苗は、そうでない苗に比べて、植栽後の成長が速くなることが確認されました。無菌状態ではなく、他の菌根菌が存在する自然条件下でも、共生菌根菌の感染処理の効果が証明されたのです。 菌根菌と樹木の共生関係はいったん成立すると、その効果は長期に持続します。今後は緑化工だけでなく針葉樹一斉人工林の皆伐後の広葉樹林化でも菌根菌を活用することが期待されます。今後は、こうした樹木と共生菌根菌の組み合わせ方について研究を進めます。 |
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