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2015年10月16日掲載
論文名 |
拡大・縮小はどこまで進んだか ―北海道における在来種クロテンと外来種ニホンテンの分布 |
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著者(所属) |
平川 浩文(北海道支所)、木下 豪太・坂田 大輔(北海道大学)、村上 隆広(斜里町立知床博物館)、車田 利夫(北海道庁)、浦口 宏二(北海道立衛生研究所)、阿部 豪・佐鹿 万里子(北海道大学) |
掲載誌 |
哺乳類科学、55巻2号、日本哺乳類学会、2015年12月予定 |
内容紹介 |
人が持ち込んだ外来生物が在来生物を脅かす例が各地で問題になっています。北海道では、太平洋戦争末期に本州から持ち込まれて野生化したニホンテンが北海道南西部で分布を拡げており、在来種クロテンを駆逐しているおそれがあります。しかし、これまで2種の分布の現状はよく分かっていませんでした。 2000年から2015年にかけて、北海道全域から1000件を超える生息記録を収集し、分析を行いました。もともと北海道全域に分布していたクロテンは、現在では石狩低地帯の西側にはほとんど分布せず、この地域にはニホンテンの分布が広がっていることが分かりました。クロテンとニホンテンは生態がよく似た近縁種のため、両者の間には競争が生じ、体の大きいニホンテンがクロテンを駆逐してきたと考えられます。わずかに、石狩低地帯の内部あるいは西側近くの3ヶ所でクロテンが新たに記録されましたが、今後ともクロテンがこれらの地域で生き残っていく可能性は極めて低いと予想されました。さらに、今後、ニホンテンが石狩低地帯を越えて東部へ分布域を拡大する可能性があることも明らかとなりました。 この研究で明らかとなった現状と将来予測にもとづき、今後、在来種クロテンの保全を考えていく必要があります。 |
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