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樹木の萌芽能力は根の炭水化物量に必ずしも依存しない

2016年2月26日掲載

論文名

Relationships between resprouting ability, species traits, and resource allocation patterns in woody species in a temperate forest (温帯林樹種における萌芽能力、機能形質、資源貯蔵パタンの関係)

著者(所属)

柴田 嶺(林野庁)、黒川 紘子・柴田 銃江(森林植生研究領域)、田中 浩(研究担当理事)、飯田 滋生(九州支所)、正木 隆(森林植生研究領域)、中静 透(東北大学)

掲載誌

Functional Ecology, January, 2016,DOI:10.1111/1365-2435.12616(外部サイトへリンク)

内容紹介

樹木には「萌芽」という特性がありますが、萌芽能力は種によって異なります。

北茨城市小川試験地の冷温帯広葉樹林に共存する24樹種を対象に、萌芽能力、成長や耐陰性に関連する葉や材の性質、根や茎の炭水化物貯蔵資源量の関係を解析しました。その結果、地上部にダメージを受けた時のみに萌芽を出す「単幹」種では、根の貯蔵資源量が多いほど萌芽能力が高まるのに対し、いつでも萌芽を出す「多幹」種では、萌芽能力は必ずしも根の貯蔵資源に依存しないことが分かりました。また、多幹でも単幹でも耐陰性の高い種は根の貯蔵資源量が少なく、単幹の中でも比較的大きな株サイズまで萌芽能力を保つ種は根に多くの資源を貯蔵していることが明らかとなりました。

このような萌芽能力のパタン化は、樹木の多種共存機構の解明に貢献するとともに、樹木の萌芽特性を利用する里山林での森林管理技術に活用できると期待されます。

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