研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2016年紹介分 > ヒノキの葉の香りがもつリラックス効果 ―生理指標を用いた科学的検証―
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2016年3月11日掲載
論文名 |
Physiological effect of olfactory stimulation by Hinoki cypress (Chamaecyparis obtusa) leaf oil. (ヒノキ葉油の嗅覚刺激がもたらす生理的影響) |
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著者(所属) |
池井 晴美(構造利用研究領域)、宋 チョロン・宮崎 良文(千葉大学環境健康フィールド科学センター) |
掲載誌 |
Journal of Physiological Anthropology, 34(1):44, Dec 2015, DOI:10.1186/s40101-015-0082-2(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
現在、樹木の葉など、利用されていない森林資源に関する有効な用途開発が課題となっています。樹木の葉の香りを嗅ぐと、気分が安らぐことは経験的に知られていますが、生理指標を用いた科学的検証はほとんどなされていません。 本研究においては、生理指標として脳活動と自律神経活動を用い、日本の代表的な樹木であるヒノキの葉の香りが人にもたらすリラックス効果を明らかにしました。ヒノキ葉の精油の香りを女子大学生13名に90秒間嗅いでもらい、その間の脳活動と自律神経活動を計測しました。脳活動については、「近赤外分光法」と呼ばれる光を使った測定法により、血流量を計測しました。自律神経活動については、心拍のゆらぎを解析し、リラックス時に高まる副交感神経活動とストレス時に高まる交感神経活動に分けて評価しました。 その結果、ヒノキの葉の香りは、脳の血流量を減少させるとともに、リラックス状態で高まることが知られている副交感神経活動を昂進させ、人の生体をリラックスさせることがわかりました。 結論として、1)これまで知られてきたヒノキの葉の香りが持つリラックス効果について、生理指標を用いた科学的検証がなされ、2)樹木がもたらす効用に関する科学的エビデンス(証拠)を増やすことができました。 この成果によって、未利用資源であるヒノキの葉の有効利用が促進され、森林資源の新たな需要の創出につながります。 |
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