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2016年6月7日掲載
論文名 |
Impact of leaf removal on initial survival and growth of container-grown and bare-root seedlings of Hinoki cypress (Chamaecyparis obtusa). (摘葉がヒノキコンテナ苗と裸苗の初期活着と成長に与える影響) |
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著者(所属) |
山下 直子・奥田 史郎・諏訪 錬平(関西支所)、Thomas Ting Lei (龍谷大学)、飛田 博順・宇都木 玄・梶本 卓也(植物生態研究領域) |
掲載誌 |
Forest Ecology and Management、370:76-82、June 2016、DOI :10.1016/j.foreco.2016.03.054(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
苗畑で育てた苗木を山に移植するときに根を傷めがちです。根を傷めると苗木の水分吸収機能が低下してしまい、植栽後、枝葉からの蒸散が活発であれば水分不足に陥り、苗木は枯れてしまいます。葉の量を減らして蒸散を抑えると、苗木は枯れずに活着率が向上すると考えました。そこで、ヒノキの裸苗とコンテナ苗を用いて、植栽する時に樹高に対して下から25%、50%、75%の位置にあるすべての葉を摘みとり(摘葉)、その後の活着や成長への影響を調べました。 5か月経過後、裸苗では、摘葉した苗木の活着率が有意に高く、摘葉した葉の割合が高い苗木ほど活着率が高くなる傾向と、樹高成長も摘葉した苗木の方が有意に高いという結果が得られました。このことは、裸苗では植栽時に葉の量を減らすことによって移植ショックが軽減されたことを示唆しています。一方、コンテナ苗では、摘葉する、しないに関わらず、活着率は90%以上と高く、樹高成長にも違いは見られませんでした。 以上の結果から、摘葉は、ヒノキの裸苗の初期活着率を高める有効な手段の一つであると考えられます。特に降雨の少ない季節や乾きやすい場所に植栽する場合や、枝葉の多い大苗等を植栽する場合には、葉の量を減らすことで活着率を改善できます。また、出荷されずに大きくなってしまった苗木の有効利用にも繋がると期待されます。同時に、コンテナ苗に関しては、移植リスクのぶれが小さいことも示唆されました。 |
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