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窒素固定能を持つ外来植物が侵略的になる

2016年6月7日掲載

論文名

Soil fertility and disturbance interact to drive contrasting responses of co-occurring native and non-native species (土壌肥沃度と撹乱の相互作用が共存する外来・在来植物種の異なる環境応答を駆動する)

著者(所属)

Duane A. Peltzer (Landcare Research, NZ)、 黒川 紘子(森林植生研究領域)、 David A. Wardle (Swedish University of Agricultural Sciences, Sweden)

掲載誌

Ecology 97(2):515-529、 Wiley・アメリカ生態学会、2016年2月、DOI:10.1890/15-0298.1(外部サイトへリンク)

内容紹介

侵略的外来種による生態系の改変は、侵入先の生物多様性・生態系サービスを脅かす世界的な危機の一つです。一般に侵略的外来植物は在来植物に比べ成長が早く、土壌栄養塩やかく乱頻度が高い場所により適応していると考えられてきました。今回、外来植物の環境やかく乱への応答性を明らかにするため、ニュージーランド南島の氾濫原で、外来の窒素固定低木5種、外来の非窒素固定低木5種、在来の窒素固定低木5種、在来の非窒素固定低木5種の計20樹種を用い、施肥とかく乱(枝切り)に対する植物の成長や葉の形質などの応答を実験的に調べました。その結果、外来窒素固定低木の成長が最も早く、在来非窒素固定低木の成長が最も遅いこと、外来種か否かに関わらず窒素固定能を持つ種の成長は施肥によって大きく増えること、かく乱に対する応答には一貫した傾向が見られないことなどが明らかになりました。つまり、外来種は窒素固定能をもっていると、侵入先で成功する可能性が高く、侵略的になりやすい、ということです。特に、窒素を多く含む肥沃な地域は要注意です。

この結果は、外来植物が侵入先で分布を拡大するメカニズムの解明や、外来種の予防・駆除の管理方針の策定につながります。

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