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火災で森の木が死んでも炭素は残る

2016年7月4日掲載

論文名

High CWD stocks in a tropical rainforest, East Kalimantan: coupled impact of forest fires and selective logging (森林火災と択伐の影響によるインドネシア東カリマンタンの熱帯雨林の高い大型木材遺体量)

著者(所属)

大曽根 陽子(森林総研PD)、藤間 剛(森林植生研究領域)、Warusudi・Sutedjo(ムラワルマン大学)、佐藤 保(森林植生研究領域)

掲載誌

Forest Ecology and Management 374 (2016) 93–101、2016年8月、DOI: 10.1016/j.foreco.2016.04.027(外部サイトへリンク)

内容紹介

熱帯林の減少や劣化は、大気中に大量の二酸化炭素を放出することから、地球温暖化の原因の一つとなっています。大規模な森林火災により、熱帯林の保持する炭素量がどう変わるかを知ることは、地球温暖化対策の基礎情報となります。

インドネシア共和国東カリマンタン州の熱帯雨林を対象に、商業樹種の伐採が行われた森林と行われていない自然度の高い森林で、同じ森林火災が枯死木量(死んでいる木の重さの合計)に与える影響の違いを調べました。

火災の直後の測定では、伐採が行われた森林と行われていない森林で枯死木量に大きな差はありませんでした。しかし、火災の影響による大木の枯死は火災から数年たっても続き、火災直後にはより多くの大木が生き残っていた伐採が行われていない森林で、火災の影響による最終的な枯死木量が大きくなりました。そして、これらの枯死した大木は、火災から14年後の測定においても、分解されずにかなりの部分が残存していました。

この研究は、大規模な森林火災の影響が長期間に及ぶこと、また枯死した樹木の炭素量のすべてが必ずしもすぐには大気中に放出されないことを示しており、今後、地球温暖化の観点からの森林火災の影響評価に役立ちます。

 

 

 

写真:火災から14年後の林相

(写真:火災から14年後の林相、1998年の火災で死んだ大木が枯れたまま立っている。)

 

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