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2016年9月30日掲載
論文名 |
Development of ModifiedParticles Method for Simulation of Debris Flow Using Constitutive Equations (土石流の構成則に基づいた粒子法モデルの開発) |
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著者(所属) |
鈴木 拓郎(森林防災研究領域)、堀田 紀文(筑波大学) |
掲載誌 |
International Journal ofErosion Control Engineering、 9(4):165-173、September 2016、 DOI:10.13101/ijece.9.165(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
我が国では毎年のように豪雨・地震による土石流災害が発生し、大きな被害をもたらします。このような災害を防ぐには、源頭部で発生した土石流が、周囲の土砂を侵食して発達しながら流下し、最終的に土砂が堆積して停止するという一連の過程を予測する必要があります。 従来の土石流の数値シミュレーションの手法は、深さ方向を平均した上で面的な広がりを計算する方法であり、例えば堰堤などの人工構造物周辺のように、急激に地形が変化するような条件における計算精度は十分ではありませんでした。そこで本研究では、流体を粒子の集合体として計算する「粒子法」と呼ばれる方法と土石流の構成則(※)を結合させ、三次元的な挙動の解析が可能な土石流の数値シミュレーション手法を開発しました。そして、本手法による計算結果と実験結果を比較し、急激に地形条件が変化する箇所における土砂の侵食・堆積過程を従来手法よりも高精度で再現可能であることを検証しました。 この研究によって、複雑な地形条件における土石流の挙動をより高精度に予測する道が開けました。効率的な対策施設の設計など、さまざまな場面での活用を目指して、さらに研究を進めていきます。 ※土石流の構成則:土石流を構成する液体や固体の応力と変形の関係をあらわす数式
図:新しい手法による土石流シミュレーション 図中のカラースケールは土砂濃度(水と土砂の混合物に占める土砂の体積割合、%)を表しています。右下のように、土石流中の土砂が堰堤で捕捉され、分離した水が堰堤を乗りこえて溢れる様子などを精度良く再現しています。
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