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腐肉食のシデムシや糞虫の群集は森林環境のよい指標になります

2017年1月12日掲載

論文名

林齢の異なる小面積林分からなる森林における腐肉食性甲虫(腐肉食性シデムシとコガネムシ上科糞虫)群集の反応

著者(所属)

上田 明良(九州支所)

掲載誌

日本森林学会誌、98巻5号、207-213、2016年12月、DOI:10.4005/jjfs.98.207(外部サイトへリンク)

内容紹介

持続可能な森林管理では、生物多様性の保全が重要視されています。このため、指標生物を用いたモニタリング手法の開発が必要になっています。そこで、腐肉食性甲虫(腐肉食性シデムシとコガネムシ上科糞虫)群集の森林環境に対する指標性について評価しました。

調査は熊本市立田山の森林総合研究所九州支所実験林の14林分と隣接民有林の1林分で行いました。腐肉食性甲虫の捕獲用に専用に開発したトラップ(わな)を1~63年生0.1~2.0haの林分に各1個設置して、捕獲された群集(種数と捕獲数)を比較しました。その結果、種数、総捕獲数、群集の多様性を示す指数とも林齢にともなって増加することが分かりました。各調査地の群集構造を分析比較したところ、林齢に伴って群集が変化するという結果が得られました。これらのことから、腐肉食性甲虫群集が、林齢にともなう環境の変化に対して優れた指標性を示すことがわかりました。今後、腐肉食性甲虫群集が新たな指標種群として様々な地域・林分構造の森林での生物多様性調査利用されることが期待されます。

 

写真1:森林総合研究所九州支所実験林

写真1:様々なタイプの森林がモザイク状に分布する森林総合研究所九州支所実験林(白線枠内が九州支所管内)

写真2:センチコガネ

写真2:林齢に伴って捕獲数が増加するセンチコガネ

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