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2017年5月12日掲載
論文名 |
The use of soil pollen to determine the sex of overhead individuals of a temperate dioecious shrub (土壌花粉の利用による温帯性雌雄異株低木個体の性別判定) |
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著者(所属) |
杉山 杏奈(元森林植生研究領域・現カリフォルニア大学ロサンゼルス校)、志知 幸治(四国支所)、正木 隆(企画部)、HUBBELL P. Stephen (カリフォルニア大学ロサンゼルス校・スミソニアン熱帯研究所) |
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掲載誌 |
American Journal of Botany、April 2017、DOI:10.3732/ajb.1600407(外部サイトへリンク) |
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内容紹介 |
雌雄異株植物では、人間のように性別が雌か雄に分かれています。そのため、実や種子を採集したい場合には雌の個体が必要になるなど、個体の性別判定が必要になる場合があります。しかしながら、植物の性別判定は、人間のように外見から判断することはできず、開花している時期または結実している時期にしかできないため、数年に一度しか花や実が着かない種では性別の判定は大変困難になります。 雌雄異株植物では雄の個体のみ花粉を生産しますが、雄個体から生産された花粉の大半はその下の土壌に落下します。花粉は種によって形態が異なり、長いこと分解されないまま蓄積する性質があります。そのため、雌と雄の個体の下の土壌を比べた場合、雄個体の下の土壌からのみ、その種の花粉が大量に検出される可能性が考えられます。そこで、雌雄異株の低木であるアオキの雌と雄の個体の下の土壌を採取し、その中に含まれるアオキ花粉の個数を比較しました(写真)。その結果、雌個体の下に比べ、雄個体の下の土壌中で、アオキ花粉が有意に多く含まれていることがわかりました(図)。 この研究は、土壌中の花粉を調べることで、雌雄異株植物の性別判定ができることを示した世界ではじめてのものです。今後、いろいろな雌雄異株植物の下の土壌中の花粉を調べることで、より多くの種の性別判定を開花・結実時期に関係なく行うことが可能になると考えられます。
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