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ユーカリでアルミニウム無毒化タンニンの合成に関わる遺伝子を解明

2018年5月31日掲載

論文名

Identification of UDP glucosyltransferases from the aluminum-resistant tree Eucalyptus camaldulensis forming β-glucogallin, the precursor of hydrolyzable tannins.(アルミニウム耐性樹木Eucalyptus camaldulensisから加水分解性タンニンの前駆体であるβ-グルコガリンを合成するUDP糖転移酵素を同定)

著者(所属)

田原 恒(樹木分子遺伝研究領域)、西口 満(樹木分子遺伝研究領域)、Andrej Frolov(ライプニッツ植物生化学研究所)、Juliane Mittasch(マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク)、Carsten Milkowski(マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク)

掲載誌

Phytochemistry、152巻 154-161、Elsevier、2018年5月発行、DOI: 10.1016/j.phytochem.2018.05.005(外部サイトへリンク)

内容紹介

オーストラリア原産樹木のユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)は、世界の陸地の約3割を占める酸性の土壌で問題となっているアルミニウム過剰害に非常に強い樹木です。私たちは、ユーカリの根において合成されるタンニン注1)が、根に侵入したアルミニウムと結合して無毒化していることをこれまでに明らかにしてきました。樹木に含まれるタンニンの量を制御できれば、アルミニウム過剰害に強い樹木を作ることもできます。そのためには、タンニンが樹体内でどのように合成されているかを明らかにする必要があります。

β-グルコガリンは、タンニン合成の起点となる重要な物質で、タンニンがユーカリの体内で合成される際の材料になります。このたび、β-グルコガリンを合成する酵素注2)をユーカリで初めて明らかにしました。ユーカリは、この酵素を少なくとも4種類持っており、それらの酵素の遺伝子を単離することに成功しました。これらの酵素がタンニン合成に材料であるβ-グルコガリンを供給していると考えられます。

今後、ユーカリの体内でβ-グルコガリンからどのようにしてタンニンが合成されるかを明らかにしていきます。タンニン合成の全容を明らかにすることで、アルミニウムに耐えられる樹木を作製することが可能になり、酸性の荒廃地の緑化に貢献できると考えています

 

注1)タンニン:植物に含まれるポリフェノールの一種

注2)酵素:生体内で化学反応の触媒としてはたらくタンパク質

 

写真:ユーカリは、有毒なアルミニウムが問題となる酸性の土壌でも旺盛に成長します。

写真:ユーカリは、有毒なアルミニウムが問題となる酸性の土壌でも旺盛に成長します。

 

図:ユーカリでβ-グルコガリンを合成する酵素を明らかにしました。

図:ユーカリでβ-グルコガリンを合成する酵素を明らかにしました。β-グルコガリンを材料として、さらにアルミニウム無毒化タンニン(エノテインB)が合成されます。

 

写真と図は、Elsevierからの許可を得て、論文のGraphical abstractを改変して作成したものです。

https://www.sciencedirect.com/journal/phytochemistry(外部サイトへリンク)

 

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