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やんばるの希少ランは絢爛(けんらん)可憐にして身を寄せる相手を選ぶ

2018年6月7日掲載

論文名

Host selection and distribution of Dendrobium okinawense, an endangered epiphytic orchid in Yambaru, Japan.(絶滅が危惧されるやんばるの着生ラン・オキナワセッコクの着生木選択と分布)

著者(所属)

阿部 真(森林植生研究領域)、小高 信彦(九州支所)、高嶋 敦史(琉球大学農学部)、安部 哲人(九州支所)、齋藤 和彦(関西支所)、正木 隆(研究企画科)

掲載誌

Ecological Research、DOI: 10.1007/s11284-018-1618-9(外部サイトへリンク)

内容紹介

南西諸島の一部である沖縄島の北部、やんばると呼ばれる地域は、奄美大島などと共に2016年度に国立公園に指定されました。この地域はユネスコ世界自然遺産の候補地としても注目されており、森林の利用と保全に科学的な根拠が強く求められています。

オキナワセッコクは、やんばるに固有の着生ランで、樹上にだけ生育し、大型で美しい花を咲かせます。森林伐採と乱獲によって激減し、やんばるを象徴する植物でありながら野生絶滅が危惧されています。本研究では、延べ50株以上のオキナワセッコクを野外で調べました。その結果、本種は戦後に皆伐されていない高齢林だけに生育していました。また、着生する宿主(着生木)として大径木を好み、中でもイスノキという樹種を強く好むことが示されました。イスノキは成長が遅く材質が堅固であるため、着生木として安定した状態が長期間続くことが、イスノキを好む理由であると推察されます。一方、イスノキが大径になるだけの時間を経た林分には多くの希少動物(昆虫や鳥類、ネズミ類)も生息することから、大径のイスノキは、保全を優先するべき林分の指標になると考えられます。本研究は、オキナワセッコクの生態に関する初めての学術的報告であり、やんばるにおける適切な希少種保護と森林管理に貢献するものです。この研究は(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(4-1503)による支援を受けました。

 

写真:開花するオキナワセッコク

写真:開花するオキナワセッコク(撮影/中西 晃(元・琉球大学))

 

図:オキナワセッコクが着生する樹種の選択性

図 オキナワセッコクが着生する樹種の選択性
縦軸はイブレフの選択性指数。横軸の各樹種について、利用可能な立木の割合に比べて着生木の割合が高い場合に正の値となり、その樹種を着生木として選択することを示す。やんばるで最も優占するスダジイは値がほぼゼロで選択性はほぼ中立であったが、イスノキはプラスの大きな値となり高い選択性を示した。樹種間の差は統計的に有意だった。

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