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切削時の木材の変形(ひずみ)を可視化する

2018年7月9日掲載

論文名

Strain analysis near the cutting edge in orthogonal cutting of hinoki (Chamaecyparis obtusa) using a digital image correlation method(ヒノキの二次元切削における切れ刃近傍のひずみの画像相関法による解析)

著者(所属)

松田 陽介(木材加工・特性研究領域)、藤原 裕子・藤井 義久(京都大学)

掲載誌

Journal of Wood Science, 53(2)、DOI: 10.1007/s10086-018-1724-x(外部サイトへリンク)

内容紹介

木材製品の表面は、鉋(かんな)がけなどの切削加工によって平滑に仕上げます。しかし、使用する切削工具の状態や木材の材質によって、切削時に過大な変形(ひずみ)が発生する場合があり、これが毛羽立ちなど、加工上の欠点の原因となります。したがって、過大なひずみが発生しないように切削する必要がありますが、木材の切削時にどのようなひずみ分布が発生するかは十分に明らかにされていません。

そこで、木材切削の様子を高速度カメラで撮影し、得られたデジタル画像を画像相関法(注)と呼ばれる手法によって解析することで、刃先周辺のひずみ分布を可視化することに成功しました(写真1)。刃先周辺のひずみの大きさや範囲が、削り取る厚さや刃先の角度などの切削条件によって特徴的に変化することが確認できました。この結果は、切削条件を調整することによってひずみの発生を制御し、加工面上の欠点の発生を抑制できることを示唆しています。本研究で用いた解析手法は、切削工具の設計や切削条件の最適化に適用可能です。

 

注)画像相関法:試験体の変形の前後で画像を撮影し、両画像を比較することによってひずみを計算する手法。

 

 写真1: 刃先周辺で発生したひずみ分布の解析例

写真1:刃先周辺で発生したひずみ分布の解析例。

この写真では、切削工具が左から右に移動し木材を切削しています。

このとき、刃先前方で垂直方向の引張ひずみ(赤い領域)が発生していることがわかります。

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