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2018年7月9日掲載
論文名 |
Isolation and Characterization of Polyethylene Glycol (PEG)-Modified Glycol Lignin via PEG Solvolysis of Softwood Biomass in a Large-Scale Batch Reactor(大型バッチリアクターでのPEGソルボリシスによる針葉樹バイオマス由来PEG改質リグニンの分離と特性の評価) |
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著者(所属) |
ネー ティティ(新素材研究拠点)、飛松 裕基(京都大学生存圏研究所)、高橋 史帆・高田 依里(新素材研究拠点)、山村 正臣・宮川 泰幸(京都大学生存圏研究所)、池田 努(森林資源化学研究領域)、梅澤 俊明(京都大学生存圏研究所)、山田 竜彦(新素材研究拠点) |
掲載誌 |
ACS Sustainable Chemistry and Engineering, 6(6):7841-7848, May 2018、DOI: 10.1021/acssuschemeng.8b00965(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
国内の中山間地域にバイオマス利用のシステムを導入するため、スギのリグニンを有効利用する技術開発を行っています。私達はポリエチレングリコール(PEG)という安全性の高い薬液でスギ材を処理することにより、改質リグニンと呼ばれるPEGとリグニンが結合した新素材を製造し、高付加価値な化成品用途へ展開する技術開発を進めています。 製造工程のスケールアップを進め、一回で50kgの木材を処理できるベンチプラントを設置して試験生産を進めました。反応温度や処理時間等の製造条件を一定にした場合、原料木材の粒径や使用するPEGの分子量が、生成する改質リグニンの収率、化学構造、熱特性にどのように影響するのかについて詳しく調べました。その結果、改質リグニン中の木材リグニンに由来した部分(リグニン由来部)とPEGとの結合様式は一定であるものの、リグニンに由来部の化学構造や、全体の分子量は変化することが確認されました。特に、木粉の粒径が小さいほど、反応がよく進み、改質リグニンの構造を変化させ、その物性にも影響を及ぼすことを確認しました。 これらの結果は、原料木材の粒径やPEGの種類等の投入原料の種類をコントロールすることで、改質リグニンの化学構造や物性をコントロールできることを示しています。この論文は、改質リグニン製造だけでなく、それを利用する製品開発においても重要となる基盤情報を提供しています。
図1 スギ材からの改質リグニンの製造工程 |
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