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地がきによるカンバ林造成林業への期待

2019年1月7日掲載

論文名

北海道における地がき更新補助作業と今後の課題

著者(所属)

伊藤 江利子・橋本 徹(北海道支所)、相澤 州平(立地環境研究領域)、石橋 聰(北海道支所)

掲載誌

森林立地、60巻 2号、71-82、森林立地学会、2018年12月

内容紹介

北海道では大面積のトドマツ人工林が主伐期を迎えています。それらをすべて再造林することは人的資源等の面から難しく、そのためトドマツ再造林に代わる新しい森づくりの方法が求められています。ここで注目されるのが「地がき(かき起こし)」によるカンバ林造成です。地がきは林床に密生するササを大型機械により根系から除去して鉱質土層を露出させ、天然更新を図る更新補助作業の一種です。地がきは1960年代以降、北海道の無立木地で広く行われ、主にカンバ類が優占する二次林が成林しました。地がきをトドマツ人工林跡地に展開するにあたり、過去の地がき事例を土壌攪乱の観点から精査して、地がきの成否を分ける要因を分析しました。その結果、養分が不足しないように表層土壌をすべて剥ぎ取らないこと、通気性・透水性を保つように表層土壌を締め固めないこと、ただしカンバがササに負けないようにササの除去は確実に行うこと、以上3点が重要であることが分かりました。近年需要増加による価格上昇が認められるカンバ林を良好に仕立てる為の施業技術に、このような地がきを丁寧に行うという要素技術を組み込んでいきます。

(本研究は2018年12月に森林立地誌に公表されました。)


写真:31年生の地がきダケカンバ林

写真:31年生の地がきダケカンバ林(石狩署管内国有林にて)

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