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AIで合成した画像でより省力的に林業用作業道の検出が可能に

2021年2月8日掲載

論文名

Data augmentation using image-to-image translation for detecting forest strip roads based on deep learning (深層学習による作業道検出のための画像変換を用いたデータ拡張手法の提案)

著者(所属)

有水 賢吾(林業工学研究領域)

掲載誌

International Journal of Forest Engineering、October 2020 DOI:10.1080/14942119.2021.1831426(外部サイトへリンク)

内容紹介

林業における人手不足解消や生産性向上のために、林業機械の自動化が求められています。これまでの研究で、画像と深層学習を用いて林業機械の走行可能領域(作業道の路面)を検出する方法を開発していますが、植生、土質など作業道周辺の環境の変化によって精度が低下するという課題がありました。深層学習には多数の作業道の画像とその正解ラベル画像のペアが必要ですが、環境の変化に対応するためには多様な条件で取得した画像のペアが必要となり、収集に多大な労力を要します。そこで、本研究ではAIを用いて画像を合成することで、少ないデータから多様な作業道を検出可能な学習手法を提案し、これまでの手法と精度の比較を行いました。

本研究では学習に必要な画像を合成する手法としてAIによる画像合成を利用しました(図参照)。この画像合成AIにより、正解ラベル画像を用意するだけで画像のペアを作成することが可能です。画像合成AIから作成した画像のペアと、実際の画像のペアを同時に作業道検出システムに学習させた結果、これまでの手法と比較して推定精度が最大で3.1%向上する等、十分に改善することがわかりました。本研究は林業機械の自律走行に必要な画像認識システムをより多様な環境に対応できるように学習させる手法を開発したものであり、今後の林業機械の自動化に貢献可能な技術となります。

 

(本研究は2020年10月にInternational Journal of Forest Engineeringにおいて公表されました。)

 

図:これまでの手法と本研究で提案した手法の処理フロー
図:これまでの手法と本研究で提案した手法の処理フロー
作業道画像と正解ラベル画像のペアをAIによる画像合成部分(右図中央部)に処理させることによって、多様なデータを生成し作業道検出システムを学習させる。

お問い合わせ先

【研究推進責任者】
森林総合研究所 研究ディレクター 宇都木 玄
【研究担当者】
森林総合研究所 林業工学研究領域 有水 賢吾
【広報担当者】
森林総合研究所 広報普及科広報係
【取材等のお問い合わせ】
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電話番号:029-829-8377(受付時間:平日9時30分~12時、13時~16時30分)

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