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エルニーニョによる熱帯林への干ばつの影響は標高帯によって異なる

2021年4月14日掲載

論文名

Effects of El Niño drought on tree mortality and growth across forest types at different elevations in Borneo(エルニーニョにともなう干ばつが、ボルネオの異なる標高に分布する森林における樹木の死亡と成長に及ぼす影響)

著者(所属)

宮本 和樹(森林植生研究領域)、相場 慎一郎(北海道大学)、青柳 亮太(森林植生研究領域・学振PD)、Reuben Nilus(サバ州林業局森林研究センター)

掲載誌

Forest Ecology and Management、Vol.490、Elsevier、March 2021 DOI:10.1016/j.foreco.2021.119096(外部サイトへリンク)

内容紹介

気候変動に伴って、今後、世界各地で干ばつが頻発することが予測されており、湿潤な熱帯地域においても干ばつによる少雨・乾燥が樹木の枯死などに影響するのではないかと懸念されています。東南アジアの熱帯林域における干ばつの発生には、エルニーニョ注)が関係していることが指摘されています。しかし、エルニーニョが関係する干ばつにより、標高帯や森林タイプの異なる森林がどのような影響を受けるのかついては十分に分かっていませんでした。

そこで本研究では、2015~2016年に発生したエルニーニョに伴う干ばつが、マレーシア・サバ州(ボルネオ島)の熱帯林に及ぼす影響を2013~2018年の5年間調査しました。エルニーニョ期間後(2016~2018年)の樹木の死亡率は、高標高帯(約1000m)よりも低標高帯(約500m)で高いことが分かりました。また、東南アジアで代表的なフタバガキ林と貧栄養土壌にみられるヒース林を比較すると、貧栄養のストレス環境に適応していると考えられるヒース林で死亡率が低いという予想に反し、低標高帯ではいずれのタイプの森林でも高い死亡率が観測されました。この結果は、エルニーニョによる干ばつの影響は標高帯によって異なることを示しています。高標高帯と比べて低標高帯では大気が乾燥しており、エルニーニョによる少雨と標高帯による大気の乾燥の違いが樹木の死亡率に影響したと考えられます。

本研究の成果は、熱帯地域における標高帯別の森林保全・管理指針の策定に役立ちます。

注)エルニーニョ 太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなる現象で、異常気象の要因になり得ると考えられています。

 

(本研究は2021年3月にForest Ecology and Managementでオンライン公表されました。)

 

写真:フトモモ科の枯死木

写真:低標高のヒース林で、エルニーニョによる干ばつ後にみられたTristaniopsis obovata(フトモモ科)の枯死木(中央部の白い幹)。

 

図:標高帯と森林タイプ別の年間死亡率の比較

図:エルニーニョによる干ばつ後の期間(2016~2018年)における標高帯と森林タイプ別の年間死亡率の比較。

高標高帯と比べて低標高帯ではフタバガキ林とヒース林いずれにおいても高い死亡率がみられました。

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【研究担当者】
森林総合研究所 森林植生研究領域 宮本 和樹
【広報担当者】
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